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ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re 感想記事

※注意 この記事には「劇場版総集編 後編 ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re」のネタバレを含みます。ご了承の上で続きをお読み下さい

 

0.はじめに

こんばんは、真ゲスです。先日ぼっち・ざ・ろっく!の映画の後編を見てきたので感想を綴っていこうと思います。

 

結論から言うとめちゃくちゃ面白かったです。泣けましたし、驚きのサプライズもありました。(※二期発表とかではありません)

 

私が今回の映画を面白いと思った理由は下記の6点です。

  1. 主題歌「ドッペルゲンガー
  2. きくりさんの圧倒的師匠感
  3. 喜多ちゃん、その裏主人公感について
  4. 「星座になれたら」
  5. 挿入歌でまさかのあの曲が!?
  6. 「音楽」によって広がる世界と可能性

 

ひとつずつ解説していきます。

 

1.主題歌「ドッペルゲンガー

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引用元:アニプレックスチャンネル
引用元のURL:https://youtu.be/776pBhZ3oO0?si=vq3E5V9U3RAl_igN

 

まず、開幕この曲から始まったのですが演出が天才的でした。

劇場版前編では『あのバンド』で終わったライブの3曲目にこの曲を新規収録することで、前編の続きの物語である。と示しています

もうこの時点で大興奮ですよね、話の作り上手すぎでしょ。

 

しかもこの曲『あのバンド』とベースチューニングが同じらしいです、拘りがエグすぎる。

結束バンドの曲は作り込みがスゴいのは知っていたつもりでしたが、改めてその拘りぶりは舌を巻きます。そこまでやるか普通(良い意味で)

 

ストーリー的な演出も素晴らしい上に、曲そのものも前編主題歌である『月並みに輝け』とリンクしています。

 

『月並みに輝け』はギターヒーローであったぼっちちゃんが、バンドマンのぼっちちゃんに変わる際の挫折、葛藤、決意を描いた曲です。

それに対して『ドッペルゲンガー』はバンドマンに変わったぼっちちゃんを、ギターヒーローのぼっちちゃん視点で見た不安、怯え、葛藤が描かれた曲になっています。

 

ドッペルゲンガーとはもうひとりの自分です。

月並みに輝けで照らされた光によって生まれた影のぼっちちゃんは、ギターヒーローとしてのぼっちちゃんだった。という前編に引き続きぼっちちゃんへの表現力がえげつないほど高い曲になっています。

 

ぼっちちゃん主役の総集編だからこそ、どちらも映画内容と噛み合いがスゴいです。ぼっちちゃんをより深く知れますし、好きになれます。

 

2.きくりさんの圧倒的師匠感

 

きくりさんは前編でぼっちちゃんに大切なことを教え、その演奏力で成長を促しました。

 

後編のきくりさんはぼっちちゃんに「挑戦」を促しているように感じます。

自分のライブハウスに結束バンドを誘い、その圧倒的なカリスマ性とクズっぷりを堂々と見せつけた後にぼっちちゃんと話すシーンがあるのですが前回に引き続き師匠感がスゴい。

 

ぼっちちゃんが文化祭に応募してどうしようか悩んでいる時にきくりさんは「私も昔はイケてない陰キャだったんだよねー」と自らの過去を話します。

この時ぼっちちゃんは驚いていましたが、私はむしろ納得でした。元々陰キャだからあれだけぼっちちゃんに寄り添ってサポート出来たわけです。

きくりさんは「ぼっちちゃんと似たようなスタート地点にいて、ひとつの到達点に達している」とネットで良く言われています。あまりにもきくりさんの表現として適切な言葉です

そして私としては同時に「作中の誰よりも音楽の可能性を信じている」キャラだとも思います。

そこがぼっちちゃんときくりさんの一番大きな共通点であり、師匠として大きく上をいっている要素です。

 

だからこそきくりさんの言葉と演奏はぼっちちゃんに響くし、温かみがあるんですよね。

やっぱりきくりさん…好き…まぁ、その差し引きが帰ってこないレベルでクズだけど。

 

あと、全く関係ないんですけどきくりさんのライブが始まる直前に通ぶったオタクムーヴした挙げ句、喜多ちゃんに質問されたらくっそ流暢に喋る山田好きすぎる。

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引用元:漫画 ぼっち・ざ・ろっく!

シーンとしてはここが一番好き

 

3.喜多ちゃん、その裏主人公感について

 

前編は一貫してぼっちちゃんが主人公で話が進みましたが、後編ではぼっちちゃんだけではなく裏の主人公として喜多ちゃんも物語の中心にいました。

 

喜多ちゃんは物語冒頭で結束バンドとして出会う前のぼっちちゃんを見つめるシーンがあります。

言及されていないので確定的なことは言えないのですが、主人公のぼっちちゃんの後ろを追う裏主人公の喜多ちゃんという布石だったのでは?と私は考えています。

 

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引用元:アニメ ぼっち・ざ・ろっく!

 

実際に映画劇中でも、一緒に出掛けた際の帰りの電車でぼっちちゃんと二人きりで話すシーンがあったり、ぼっちちゃんが捨てた文化祭の出し物希望用紙を後から(勝手に)提出したり、文化祭ではぼっちちゃんの隠れ場所を探し当てたり、ぼっちちゃんの考えや意図を読んで話すシーンが多かったりとかなり喜多ちゃんが優遇されています。

 

勿論、ただぼっちちゃんの後ろを追っている。優遇されていると言うだけで裏主人公にはなり得ません。

何故、喜多ちゃんが裏主人公なのかと言うとぼっちちゃんの後ろを追う内に彼女も自分のコンプレックスに答えを見出だし成長したからです。

 

アニメでは度々喜多ちゃんの陽キャオーラを眩しがるぼっちちゃんが描かれていますが、喜多ちゃんから見たぼっちちゃんもまた眩しかったのでは?と私は考えています。

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引用元:アニメ ぼっち・ざ・ろっく!

 

確かに、喜多ちゃんは人気者で顔も良くリアルが充実していてぼっちちゃんとは対極の存在です。

しかし、喜多ちゃんはぼっちちゃんのように圧倒的な演奏力で皆を引っ張ったり出来ません。更に言うとギターの過酷さに一度逃げ出してしまった過去も相まって「一人で直向きに努力する」のが苦手なのかもしれません。

 

「孤独」とは周りに人がいない状態だけを指すのではありません。

ぼっちちゃんが孤独を抱えて生きてきたように、喜多ちゃんもまたぼっちちゃんとは別ベクトルの孤独を抱えていたのです。

 

そんな彼女ですが、映画内の最後のライブでそのコンプレックスや孤独に対する答えを出します。次の項目で解説しましょう

 

4.『星座になれたら』

 

「私、一人で皆を引っ張る演奏は出来ないけど、皆に合わせるのは得意みたい。」

 

上記の台詞がバンドマンとしての喜多ちゃんが出した答えだと私は思っています。

ぼっちちゃんの後ろを追い続けた彼女はぼっちちゃんのような輝きを放つことは出来ない。でも、結束バンドのメンバー全員の輝きを繋げて皆で輝くことは出来る。と彼女だけの答えを出しバンドマンとして覚醒しました。

 

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引用元:【ライブ映像】 結束バンド「星座になれたら」 LIVE at 秀華祭
引用元のURL:https://youtu.be/fJh5UeiULZs?si=1wzp69dEYisRAYo_

マジでこの辺りを映画館で見れて良かった、何度見てもカッコ良すぎる。

 

ここの喜多ちゃん覚醒シーンの素晴らしいところは『あのバンド』と構図が逆になっているところですね。

『あのバンド』の時はぼっちちゃん個人の演奏で悪い流れを断ち切り皆を救ったのに対して、今回は喜多ちゃんを中心にした皆の演奏でぼっちちゃんを救ったという構図になっています。

 

そしてぼっちちゃんもただ救われるだけでなくギターヒーローの後藤ひとりとして、またバンドマンの後藤ひとりとしてボトルネック間奏をして喜多ちゃんのギターに応えます。

 

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引用元:【ライブ映像】 結束バンド「星座になれたら」 LIVE at 秀華祭
引用元のURL:https://youtu.be/fJh5UeiULZs?si=1wzp69dEYisRAYo_

ここのシーンを再現するために源の切れたギターを用意して収録したらしい、拘りと作り込みがスゴすぎて狂おしいほど好き。

 

このボトルネック間奏はギターヒーローとしての長年の積み重ねとバンドマンとしての矜持、どちらが欠けても出来ない芸当です。

 

ライブ中に楽器が壊れて咄嗟の機転で乗り切るというのは、どんな音楽アニメにもある王道な展開ですが、ぼっち・ざ・ろっくでは裏主人公の喜多ちゃんの覚醒と、それに演奏で応えた主人公ぼっちちゃんがギターヒーローとバンドマンとして融合するという物語性を王道展開に加えることで面白さと感動が倍増していました。

 

「星座になれたら」を聴いた後改めて映画館に来て良かったなぁ…って思いました。

これだけで2000円の価値があります、本当に。

 

5.挿入歌でまさかのあの曲が!?

 

最高の瞬間で脳が蕩けていた私に更なるサプライズがありました。

 

結束バンドのメンバーがぼっちちゃんの新しいギターを買いに行くシーンの挿入歌に『青い春と西の空』が流れたのです。

これにはびっくりしましたね、まさか本編終了後にアルバムで収録されただけの曲を総集編の挿入歌で流すとは…。

 

この曲はめちゃくちゃ良い曲なのにアルバム限定曲で、公式MVも無いもんだから知名度が高くありません。完成度の高さに知名度が見合ってないのが勿体ない曲だったので今回のサプライズは嬉しい。

 

因みにこんなに熱く語ってる理由は私が結束バンドの曲で一番好きな曲が『青い春と西の空』だからです。

「好きな曲が有名になる機会が増えて嬉しい!」以外の内容はこの項目にありません()

 

6.「音楽」によって広がる世界と可能性

 

きくりさんの項でもチラッと触れていましたが、「音楽」によってぼっちちゃんの世界と可能性は大幅に広がりました。

虹夏と出会ったことでバンドマンとしての人生が始まり、ライブのためにアルバイトをすることで人と関わる機会が増え、壁にぶつかったときに出会ったきくりさんの教えでファンを獲得し、またきくりさんのライブハウスに招待されて人脈も広がりました。文化祭では、ずっとコンプレックスだった青春を謳歌し、最後には新しいギターを皆で買いにいっています。

 

総集編ラストの巻き戻りの演出は、あの頃には考えられなかったぼっちちゃんの世界と可能性がこんなに広がったんだよ。という意味の演出だったのではないか?と思います。

 

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引用元:アニメ ぼっち・ざ・ろっく!

劇場版見た後だと、何気ない日常シーンもぼっちちゃんが毎日必死に生きていたんだな。と感慨深い気持ちになる

 

そして音楽の可能性についてはぼっちちゃんだけの話ではありません。

山田は音楽の可能性を「折られた」側ですが、虹夏の夢に自分の可能性を託しています。

それこそ虹夏はメンバーで唯一明確な「夢」があります。この辺りの深掘りは是非とも二期でして欲しいです。

 

これから彼女らの可能性や世界が音楽を中心にしてどのように広がっていくのか?はたまた狭まっていくのか?

非常に楽しみです、今後の可能性に希望が持てるという意味でも好きになれる作品です。

 

7.おわりに

 

最後に総集編の総括をしてこの記事の〆とさせていただきます。

 

私はぼっち・ざ・ろっく!にカッコ良さとライブの作り込みを求める派なので、この総集編は非常に満足度の高いものでした。

カットの違和感なく、拾うべきところを拾っているので前後編合わせても3時間程度でぼっち・ざ・ろっく!の1期を振り返ることが出来る。と言うのは評価したいポイントです。

 

勿論、音の作り込みもスゴいので(特に映画館で聴いたときは演奏がはっきり聴こえてまた新鮮に聴こえる)アニメで全話見たよーって方もそこで満足できるんじゃないかと思います。

 

兎に角見に行って良かった、このぼっち・ざ・ろっく!という作品に出会えて良かったと心から言える内容でした。

まだアニメ見ていないので、とりあえず全話見てきます。